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  • Gonga sain

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    @Baba Sharjamal, Lahore Pakistan, 2008

    20年近く前、ネパールの安宿で旅仲間に薦められて聴いた1枚のCD。
    パキスタンのラホールで録音されたその音は衝撃だった。
    両面バチ打ちの大太鼓『Dhol(ドール)』の奏でる音は太鼓の出で立ちとは違い、まるでメロディーを紡ぐかのような豪快さの中に繊細さが散りばめられた音色。
    ドールの音を直に聴きたいということで、その当時予定にはなかったパキスタンへ急遽行くことにした。

    ネパールで聴いたドールの奏者であるGonga sainと出逢ったのはその頃だった。
    耳が不自由な彼との会話は意外と難しくはなかった。
    なぜなら自分たちもウルドゥー語やパンジャブ語が話せるわけではないから。
    身振り手振りや表情で簡単な意思疎通は案外スムーズだった。

    Gonga sainはとにかく天使のような人だった。
    彼の周りにはいつも温かい空気が流れていた。
    彼の周りにはいつも誰かしらの笑顔が見られた。
    そしてそれは私達のような旅行者の周りでも何ら変わらなかった。

    出逢ってすぐの頃、宿で彼らのドールを生で聴く機会が2度ほどあった。
    2台のドールから矢のように突き刺さる音、腹にドシンとのしかかる音、美しいメロディーを奏でる音。
    音にあれほど夢中になったのは初めてだった。
    そして、そのあまりにも贅沢なライブは自分たちのその後の過ごし方にも大きな影響をもたらした。

    ラホールでドールを習おうとなった時、諸事情でGonga sainではなくPappu sainの元に弟子入りした。
    Pappu sainの元でドールの基礎を教えてもらい、その上でドールの音を捉えようとするようになったとき、振動を頼りに音を奏でるGonga sainは耳の聞こえる人たちとはリズムのとり方に若干の違いがある、ということを感じた。
    そしてその個性こそがGonga sainの音色だった。

    今年のある時、Gonga sainがアッラーの元へ旅立ったとSNSで関係者から教えてもらった。
    葬儀の様子などSNSで見ることはできたが距離がありすぎて実感がわかなかったし、今も頭では理解しているつもりだが本当にはわかっていないのかも知れない。
    次回、パキスタンに向かう時、Gonga sainとはもう逢えないということに本当に気づくだろう。
    どうか安らかに。

    合掌













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    by sgr2006 | 2021-10-26 08:51 | Cafe Jum'arat | Trackback | Comments(0)

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